雨どい修理の費用相場
雨どい修理にかかる費用は、修理の範囲や方法によって大きく変動します。
部分的な補修で済むケースと、全体交換が必要なケースでは、費用感も大きく異なります。
ここでは、部分修理と全体交換の場合に分けて、それぞれの費用相場を見ていきましょう。
部分修理の費用相場
部分的な修理が必要な場合、比較的低コストで対応できることが多いです。例えば、雨どいの一部分のみを修理する場合、費用は以下のような範囲になることが多いです。
- コーキング修理:5,000円~30,000円
- 雨どいの部分交換:10,000円~100,000円
- 金具の交換や補修:3,000円~30,000円
これらの費用は、修理箇所の数や作業の難易度によって変動します。また、高所作業が必要な場合は、追加の費用がかかる可能性があります。
▲
▲
【コーキングとは?】
コーキングとは、建物に生じるすき間や継ぎ目を埋めるために充填する材料、またはその処理行為を指す言葉です。本来は水や空気の侵入を防ぐ目的で用いられてきた建築用語で、現在では防水性や気密性を確保するための処理全般を意味する言葉として使われています。現場や文脈によっては「シーリング」と呼ばれることもあり、日常的にはほぼ同じ意味として扱われています。

監修者:
加藤 大輔
二級建築士
雨どいは雨水をできる限り早く建物から遠ざけるために重要な箇所。劣化や不具合があっても直接室内に影響がない場合が多いため、破損などに気付かないケースやわかっていても対処や補修が遅れがちになります。しかしながら補修が遅れると建物自体が大きなダメージを受ける可能性が高まりますので日頃から注意が必要です。
全体交換の費用相場
雨どい全体の交換が必要な場合、費用は大幅に上昇します。一般的な戸建て住宅の場合、以下のような費用範囲が考えられます。
- 雨どい全体交換:200,000円~500,000円
- 足場設置費用(必要な場合):150,000円~250,000円
全体交換の費用は、家の大きさや雨どいの長さ、使用する材料の種類によって大きく変わります。また、足場の設置が必要な場合は追加費用が発生するため、その分を考慮する必要があります。
地域や業者による価格差
雨どい修理の費用は、地域や業者によっても差が生じます。都市部では人件費が高くなる傾向があり、地方と比べて若干高めの価格設定になることがあります。また、業者の規模や経験によっても価格が変動する可能性があります。
複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格範囲を把握することができます。ただし、単に価格の安さだけでなく、業者の信頼性や技術力も考慮して選択することが重要です。
- 外壁塗装の雨どいリフォームが得意な
\ 施工会社を探したい!/
雨どい修理の種類と種類別参考価格
雨どい修理には、コーキング修理、部分交換、全体交換など、さまざまな方法があります。
建物の状態や劣化の程度によって適した修理方法は異なるため、それぞれの特徴と費用感を把握しておくことが重要です。
ここでは、修理方法ごとの特徴と、種類別の参考価格を紹介します。
コーキング修理
コーキング修理は、雨どいの接合部や小さな亀裂を埋める比較的簡単な修理方法です。軽度の不具合であれば、この方法で十分に対応できるケースも多く、初期段階の補修としてよく選ばれます。
- 参考価格:5,000円~30,000円
- 適用範囲:小規模な漏水や亀裂の修理
- 特徴:比較的安価で短時間で完了する
- 参考商品:シリコン系コーキング材(例:コニシ「ボンド クイックメンダー」1本約1,500円)
コーキング修理は、雨どいの寿命を延ばすための応急処置として有効です。ただし、大規模な損傷や劣化が進んでいる場合には十分な効果が得られないこともあり、その場合はより本格的な修理や交換が必要になる可能性があります。
部分交換
雨どいの一部が著しく損傷している場合、その部分のみを交換する方法があります。劣化箇所をピンポイントで補修できるため、全体交換に比べて費用を抑えやすいのが特徴です。
- 参考価格:10,000円~100,000円
- 適用範囲:局所的な損傷や劣化が見られる箇所
- 特徴:必要な部分のみを交換するため、全体交換よりも経済的
- 参考商品:PVC製雨どい部品(例:タキロンシーアイ「雨とい60φ 3m」約3,000円)
部分交換は、雨どい全体の状態が比較的良好で、特定の箇所のみに問題がある場合に適しています。ただし、既存の雨どいと新しい部材の接続が不適切だと、新たな不具合を招く可能性があります。そのため、仕上がりや耐久性を考えると、専門業者による施工が推奨されます。
▲
▲
【PVCとは?】
PVCとは、Polyvinyl Chloride(ポリ塩化ビニル)の略称で、プラスチック素材の一種を指します。耐水性・耐候性に優れており、雨どいや配管、外装部材など屋外で使われる建材に多く採用されています。軽量で加工しやすく、コストも比較的抑えられることから、住宅用雨どいでは標準的な素材として広く普及しています。
全体交換
雨どい全体が劣化している場合や、複数箇所に不具合が見られる場合は、部分的な補修では対応しきれず、全体交換が最適な選択肢となります。築年数が経過している住宅や、過去に何度も補修を行っているケースでは検討されることが多い方法です。
- 参考価格:200,000円~500,000円(足場設置費用別)
- 適用範囲:雨どい全体の劣化や複数箇所の損傷がある場合
- 特徴:長期的な耐久性が期待できる、美観の向上
- 参考商品:アルミ製雨どいシステム(例:LIXIL「ジエスタ」システム一式 約350,000円)
- 参考商品:銅製雨どいシステム(例:カナメ「銅製雨どい」システム一式 約600,000円)
全体交換は初期費用が高くなりがちですが、長期的に見ると補修の回数を減らせるため、結果的に維持費を抑えられる可能性があります。また、最新の素材や設計を採用することで排水効率や耐久性の向上も期待できます。
これらの価格はあくまで参考値であり、実際の費用は家の構造・雨どいの長さ・使用する材料・施工の難易度などによって変動します。正確な金額を把握するためには、専門業者による現地調査と見積もりが不可欠です。

監修者:
加藤 大輔
二級建築士
雨どいの大きさ、太さにも様々な種類があります。特に広い屋根面やいくつかの雨どいをまとめて排水するような箇所には余裕を持った計画が必要です。同じ一軒の家でも受ける雨の量はそれぞれ異なる場合もあり、その場所に見合った雨どいを採用する事が重要です。修理する際今付いている雨どいと同じ仕様で良いかどうかは一度検討することをおすすめします。
- 外壁塗装の雨どいリフォームが得意な
\ 施工会社を探したい!/
雨どい修理のリフォームで後悔しない費用ポイント
雨どい修理のリフォームを行う際、後悔しないために押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、費用面に焦点を当てて、注意すべき点を説明します。
適切な修理範囲の見極め
雨どい修理の費用を適切に管理するためには、修理が必要な範囲を正確に見極めることが重要です。状態に合わない修理方法を選ぶと、結果的に無駄な出費につながる可能性があります。
- 部分修理で十分な場合に全体交換を行うと、不必要な出費になる可能性があります。
- 逆に、全体的な劣化が進んでいるのに部分修理にとどめると、短期間で再度修理が必要になる可能性があります。
専門家による詳細な診断を受けることで、適切な修理範囲を決定し、長期的に見て最も経済的な選択をすることができます。例えば、雨どいの劣化度合いを0~10のスケールで評価し、7以上の場合は全体交換を検討するなどの基準を設けることが有効です。
品質と価格のバランス
雨どい修理では、単に最も安い選択肢を選ぶのではなく、品質と価格のバランスを考慮することが重要です。初期費用だけで判断すると、結果的にコストが膨らむケースも少なくありません。
- 高品質な材料や施工技術は初期費用が高くなる傾向がありますが、耐久性や性能の面で長期的なメリットがあります。
- 逆に、過度に安価な材料や施工を選択すると、早期の劣化や再修理のリスクが高まります。
信頼できる業者から複数の見積もりを取ることで、それぞれの提案内容を比較検討し、最適なバランスを見つけることができます。例えば、10年間のトータルコストを計算し、初期費用と維持費の合計が最も低くなる選択肢を選ぶことが賢明です。
メンテナンスコストの確認
雨どい修理を検討する際は、初期費用だけでなく将来的なメンテナンス費用も考慮に入れることが重要です。目先の工事費だけで判断すると、後から想定外の出費が発生する可能性があります。
- 定期的な清掃や点検の費用:年間10,000円~30,000円
- 部分的な補修が必要になる可能性:5年ごとに50,000円~100,000円
- 耐用年数経過後の再交換費用:15~20年後に200,000円~500,000円
これらの長期的なコストを含めて考えることで、総合的に見て最も経済的な選択が可能になります。例えば、初期費用は高くても耐久性の高い材料を選択することで、結果的に維持費を抑えられるケースもあります。
以上のポイントを考慮しながら、自身の予算と優先順位に基づいて判断することが、後悔のない雨どい修理リフォームにつながります。
- 外壁塗装の雨どいリフォームが得意な
\ 施工会社を探したい!/
雨どい修理の選び方や種類別メリット・デメリット
雨どい修理の方法や材料を選ぶ際は、それぞれの選択肢にメリットとデメリットがあることを理解しておくことが重要です。修理内容や素材の選び方を誤ると、費用面や耐久性の面で後悔につながる可能性があります。ここでは、部分修理と全体交換の選び方、材料選びのポイント、施工業者選びの重要性について解説します。
部分修理vs全体交換
雨どいの修理方法を選ぶ際、最初に検討すべきなのは、部分修理にするか全体交換にするかという点です。雨どいの劣化状況や不具合の範囲によって、適した修理方法は大きく異なります。
| 修理方法 |
メリット |
デメリット |
| 部分修理 |
・初期費用が抑えられる(10,000円~100,000円程度)
・必要最小限の修理で済む
・工期が短い(通常1~2日)
|
・既存の雨どいとの接続部分で問題が発生する可能性がある
・全体的な劣化が進んでいる場合、短期間で再修理が必要になる可能性がある
|
| 全体交換 |
・長期的な耐久性が期待できる(15~20年程度)
・最新の素材や設計を採用できる
・美観の向上
|
・初期費用が高い(200,000円~500,000円程度)
・工期が長くなる(通常3~5日)
|
選択の基準としては、現在の雨どいの全体的な状態、予算、将来的な住宅の使用計画などを総合的に考慮する必要があります。例えば、築20年以上の住宅で複数箇所に劣化が見られる場合は、全体交換を検討するのが賢明です。
材料の選択
雨どいの修理や交換を行う際は、使用する材料の選択も重要なポイントです。材料によって耐久性・価格・見た目・メンテナンス性が大きく異なるため、住宅の条件や予算、将来の維持計画に合わせて選ぶ必要があります。主な材料とそれぞれの特徴は以下の通りです。
| 材料 |
メリット |
デメリット |
参考価格(1mあたり) |
| 塩化ビニル製(PVC) |
軽量
耐食性が高い
価格が比較的安い
|
経年劣化で変色や脆くなる可能性がある
|
2,000円~5,000円 |
| 金属製(アルミニウム) |
耐久性が高い
美観に優れる
|
価格が高い
重量がある
|
5,000円~10,000円 |
| 金属製(銅) |
耐久性が非常に高い
独特の風合いが楽しめる
|
価格が非常に高い
重量がある
|
10,000円~20,000円 |
| 樹脂製 |
軽量
耐候性が良い
色の選択肢が豊富
|
強度が金属製に比べて劣る
|
3,000円~7,000円 |
材料の選択は、気候条件、建物の構造、予算、美観の重要度などを総合的に考慮して行います。例えば、海岸近くの塩害が懸念される地域では、耐食性の高いアルミニウム製や樹脂製を選ぶことが重要です。

監修者:
加藤 大輔
二級建築士
雨どいは材質にもいくつか種類がありますが、同じ材質でもメーカー毎に若干サイズの違いがあります。部材同士を繋ぐ箇所が多くなると接合部周辺の不具合が雨どい自体の機能低下を招く原因にもなりかねません。先ずはご自宅で採用されている雨どいの材質やメーカーを確認して頂き、合わせて専門業者に相談する事をおすすめします。
施工業者の選び方
適切な施工業者を選ぶことも、雨どい修理の成功に大きく影響します。以下のポイントを考慮して業者を選びましょう。
- ・実績と経験:雨どい修理の施工実績が豊富で、経験のある業者を選ぶ
- ・保証制度:工事後の保証制度が充実している業者を選ぶ(例:5年間の無償修理保証)
- ・見積もりの透明性:見積もり内容が明確で、質問にも丁寧に答えてくれる業者を選ぶ
- ・評判:口コミや評判を確認し、信頼できる業者を選ぶ
複数の業者から見積もりを取り、それぞれの提案内容を比較検討することで、最適な業者を見つけることができます。単に価格の安さだけでなく、提案内容の質や対応の丁寧さなども重要な選択基準となります。
適切な修理方法、材料、施工業者を選ぶことで、長期的に満足できる雨どい修理を実現することができます。
- 外壁塗装の雨どいリフォームが得意な
\ 施工会社を探したい!/
雨どい修理の施工までの主な日数と流れ
実際に雨どい修理を行う際、施工までにはいくつかの工程があり、修理内容によって必要な日数も異なります。事前の流れを把握しておくことで、スケジュール調整や生活への影響を最小限に抑えることができます。ここでは、施工の流れと各段階の所要日数、そして施工時に押さえておきたい留意点について説明します。
現地調査から見積もり作成まで
雨どい修理の最初のステップは、現地調査と見積もり作成です。ここでの進め方次第で、施工までのスピードや満足度が大きく左右されます。
- ・業者への連絡と日程調整:1~3日
- ・現地調査:半日~1日
- ・見積書作成と提出:1~3日
施主の早めの対応がスムーズな進行のカギです。業者との日程調整や連絡はできるだけ早めに行いましょう。複数の業者に見積もりを依頼する場合は、同時進行で進めることで全体のスケジュールを短縮できます。
契約から施工準備まで
見積もりを受け取り、業者を決定したら、契約と施工準備の段階に入ります。この期間は、実際の工事を円滑に進めるための重要な準備期間といえます。
- 契約書の確認と締結:1~3日
- 材料の手配:3~7日(特殊な材料の場合はさらに長期化する可能性あり)
- 施工日程の確定:1~3日
- 足場の設置(必要な場合):1~2日
この準備期間の長さは、材料の手配状況や業者のスケジュール次第で変わります。特に全体交換や特殊な材料を使うケースでは、資材の入荷や段取りに時間がかかり、準備期間が長引くことがあります。早めの相談・発注がスムーズな進行につながります。
施工から完了まで
施工にかかる日数は、修理の内容や規模によって大きく異なります。部分修理か全体交換かによって工期は変わるため、事前に全体の流れを把握しておくことが重要です。以下に、一般的な雨どい修理の流れと、それぞれの工程にかかるおおよその日数をまとめました。
-
施工準備:1日
足場設置(必要な場合)や材料の確認を行います。この段階で、施工に必要な道具や材料がすべて揃っているかを確認します。
-
雨どい修理作業:1日~3日
部分修理の場合は1日程度で完了することが多いですが、全体交換の場合は2~3日かかることがあります。作業内容によっては、天候の影響で工程が前後することもあるため、余裕を持ったスケジュールが重要です。
-
完了検査と清掃:1日
施工が完了した後、業者が修理箇所を点検し、問題がないか確認します。また、施工後の清掃を行い、周囲の環境を整えた状態で引き渡しが行われます。
このように、雨どい修理の全体的な流れは約1週間程度で完了するケースが一般的です。ただし、悪天候や特殊な材料の取り寄せなどによって遅延する可能性もあるため、事前に業者としっかりとコミュニケーションを取ることが重要です。
※問い合わせボタン
- 外壁塗装の雨どいリフォームが得意な
\ 施工会社を探したい!/
まとめ
雨どい修理は、建物の保護や美観を保つために非常に重要な作業です。この記事では、雨どい修理の費用相場、種類別参考価格、リフォームで後悔しないためのポイント、修理方法の選び方やメリット・デメリット、そして施工までの流れについて詳しく解説しました。
雨どい修理の費用は部分修理と全体交換で大きく異なるため、自宅の状態に応じた適切な選択が必要不可欠です。また、修理方法や使用する材料によっても価格や耐久性が変わるため、信頼できる業者から複数の見積もりを取り、その内容を比較検討することが大切です。
雨どい修理は一時的な出費ではなく、長期的な視点で捉えるべき投資です。適切な判断を下すことで、大切な住まいを守り、美しい状態を維持することができるでしょう。信頼に足る業者と相談しながら、自分にとって最適な雨どい修理を行っていきましょう。
監修者プロフィール
-
加藤 大輔
なごや住宅診断所
代表
資格:二級建築士、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士、JSHI公認ホームインスペクター
- 外壁塗装の雨どいリフォームが得意な
\ 施工会社を探したい!/
-
リフォーム、リノベーションの調査・設計・施工をトータルに担当後、数多くの既存住宅再生を通じて得た経験をもとに、住宅診断専門「なごや住宅診断所」を開設し現在に至る。これまでに調査した建物は、新築・中古住宅を合わせて延べ2,000件を超える。
1982年4月より約32年間、東証一部上場企業グループの住宅会社に勤務。木造注文住宅および鉄骨造・RC造賃貸マンションの現場監督を12年間経験した後、住宅リフォーム事業に約20年間従事。最終役職は取締役リフォーム事業部長。